2021年を写真で振り返る

写真を見返しているといろいろなことを思う。太陽の光とか風の強さ、湿度や気温、前日に会った人、撮っているときどんな気持ちだったかとか。大抵は曖昧だけれどそうやって写真を見返している時間はすごく好き。
撮った日に見るのと、時が経ってから見るのとでは全く違う写真に見えてくることだってある。


2021年はたくさん写真を撮った。写真を撮りに行くというよりは、自分の周りの人や物事をたくさん撮った一年だった。
そんな一年の写真を見返しながら僕にとっての2021年を少しまとめたいと思う。

冬(1月・2月)

正月が明けた頃、学生時代の友人と集まった。
一年に一度か二度しか集まれない貴重な時間。
雪の積もった街は学生の頃を思い出させる。あの頃は雪が降るたびにはしゃいで遊んでいた。初めて雪が積もったときは雪の上にダイブしたり、雪だるまを作ったり、雪合戦をしたり。膝上くらいの高さの雪が玄関前まで積もったときはさすがに大学に行くのも躊躇したけれどそれも含めて雪はいい記憶を想起させる。
今でも雪が降ると嬉しいけれどあの頃みたいにみんなで遊べないのは少し寂しい。
いつかまた雪合戦ができたらいいなと思う。

この日は久々に友人の写真も撮った。学生時代から写真に写ってくれている友人、それからたまに写ってくれる友人、初めて撮った友人。自分の身近な人を写真に写すのは楽しい。関係性が見えたり、今まで知らなかった部分が見えてきたり。もちろん初めて会う人を撮るのも楽しいんだけれど、やっぱり友人や恋人、家族を写すのは他の写真を撮る時とは違った感覚がある。写真を通して親密になっていく感じ。あれが楽しい。

一月の終わりにはいつものように梅田で写真を撮った。冬の朝の光は好きだ。街がキラキラして見える。あまり朝の梅田を撮ったことがなかったから新鮮で楽しかったのを覚えている。
阪急と大阪駅を結ぶ歩道橋。ここが好きで梅田に来るたびに訪れる。ビルに囲まれた都会の空気感がいい。早朝と深夜は特にオススメ。梅田の街を独り占めした気分になれる。

近頃、梅田近辺の動きが活発で嬉しい。大阪駅西地区の開発、淀屋橋の御堂筋沿いのツインタワー、それから一番大きなのがうめきた2期地区。タワークレーンも多数立ち上がっていよいよ工事が始まる。こういう光景は滅多に見れないから好き。街がどんどん変化して進化して生きているみたいに見える。
数年後、ここから見える風景は今とは全然違って感じることだってたぶん違う。今から5年後10年後の梅田を思い浮かべるとワクワクする。

2月はあまり写真を撮らなかった気がするけれどこの写真は何度も何度も見返した。この写真を撮ってから家の中をよく撮るようになった。冬場は家の中も綺麗な光が入ることを何年も住んでいるのに気付いていなかった。

春(3月・4月・5月)

近所に住み着いている猫は見るたびに大きくなっている。夜中に「ニャーニャー」と猫同士で喧嘩をしていたり、何時間もタイヤの上に居座られたりして迷惑だと思ったこともあるけれど、やっぱり可愛い。猫を見るとどうしても写真を撮ってしまう。

3月のはじめ、学生時代の友人と静岡へ行った。今までにも何度か一緒に写真を撮りに行ったことのあるメンバー。この日はあまりちゃんとした予定は立てていなくて何となく前日に「富士山見てみたいな」となって静岡まで行くことになった。片道5,6時間。車を出したのが僕だからという理由でみんなが順番に運転してくれた。とてもありがたい。

静岡に到着したらまさかまさかの悪天候。全く富士山が見えない。僕たちは笑いながら予定を変更して、牧場や滝を巡ってなんやかんや静岡を満喫した。焼きそばとハンバーグも忘れずに食べた。美味しい。
でも日帰りで来るとこではないとわかったから今度は泊まりでリベンジしたい。富士山をどうしても見たい。

富士山を撮る気満々でリバーサルフィルムのE100を詰めていたけれど、晴れの日に使いたかった。きっと本領を発揮してくれる。

▷リバーサルフィルムで風景写真を撮る【Kodak Ektachrome E100作例】

家にいるときはいつもカメラをそばに置いていた。突然写真が撮りたくなったり、部屋の片隅に面白いものを見つけたり、とにかくいつでも写真を撮れるようにしていた。

フィルム一眼のNikon F3だったり、コンパクトのContax T2だったり、デジタルのSony a7R2だったり、ときにはスマートフォンで撮ったりもした。一瞬を逃さないように一番近くにあるカメラで写真を撮っていた。

だから2021年はスマートフォンでもかなり写真や動画を撮った。カメラでは撮れない瞬間や撮れないところまで撮れて、気づいたら何枚も撮っていたこともあった。
特に3月にインストールしたDispoというアプリにハマって、毎日のように撮っていた。写真を撮ると翌日の朝9時になるまでどんな写真が撮れたかわからないというフィルムに近い時間の隔たりを楽しめてよかった。結局そのアプリは12月まで使い続けて2022年になってからも使用している。
もちろん、スマホに標準搭載されているカメラアプリも使ったけれど2021年は色んな写真や動画アプリを試した年だった。その話を始めると長くなりそうなので今回はやめておくけれどDispoはオススメなので是非使ってみてほしい。

5月は楽しい月だった。
ゴールデンウィークが明けた頃、大学時代の知り合いに写真を撮ってほしいと言われ中之島や梅田近辺を散歩しながら撮影した。張り切ってカメラ3台も持っていってしまって、しかもそのうち一台は使い慣れていない中判カメラでバタバタしながら撮ったような気もするけど写真は気に入ってもらえたからよかった。

末には東京で知り合いに誘われて展示会に参加させてもらった。あまり写真をプリントしたことがなかったからサイズとか展示のしかたとかいろいろ手探りだった。けれど考えるのはなかなか楽しかった。現像とプリントはよく行くラボにお願いした。
モノクロ写真は2021年以前はたまにしか撮らなかったけれど、光の加減や状況に集中して撮れるところが梅田という発展していく街を表現するのにぴったりだと思ってこの頃はよく撮った。

モノクロフィルム「ILFORD DELTA 3200」で深夜の街を撮る

それから写真集も作った。ずっと作りたいと思っていて、2020年の12月頃から写真をまとめ始めた。
写真をまとめるのは楽しくて今こうしてまとめているみたいに写真を見ながら色んなことを思い返していた。
自分を取り巻く日常や環境、それから自分の心境。タイトルにもあるように自分という人間が何を見て、何を思って日々を生きているのかを思い返せるような写真集になった。
結局予算や時間の関係で6冊しか刷れなかったから非売品だけれど大切な人たちには無事に届けることができた。次こそはもっとたくさん刷れたらいいな。

夏(6月・7月・8月)

春頃から花の写真を撮ることが好きになってきてよく撮っていた。
カメラというよりはスマホでよく撮っていた。さっきも出てきたアプリDispoで。街中のふとした瞬間をスマホだと撮れるからいい。カバンにカメラはだいたい入っているけれど、いつもカバンを持ち歩いているわけでもない。でもスマホはだいたい持ってる。コンビニに行く時とか、SAでトイレ休憩する時とか。


2021年の夏は何だか早く過ぎ去っていった。

夏祭りに行こうとか、花火をしようとか、河原で語り合おうだとか、遠くに出かけようだとか。夏が来る前にそんなことを考えていた。でも結局どれもしないで夏は過ぎる。
僕の中で夏という季節は儚い。

東京オリンピックが2020年から2021年に延期されて何の偶然かパラリンピックが開催されている時期に東京に用ができた。

直接競技を見ることはなかったけれど少しでも東京五輪の空気を感じることができたのはいいことだったのかもしれない。

秋(9月・10月・11月)

普段あまり季節を感じるような写真を撮らないけれど、急に撮りたくなって彼岸花で有名な場所へ赴いた。
奈良の九品寺。ちょうど見頃で辺り一面が真っ赤になっていて少し驚いた。平日の夕方、しかも曇り空だったけど僕と同じように写真を撮りに来ている人は多かった。

こうして写真をどこかに撮りに行くのはドライブも楽しめて意外といい。2022年はもう少し遠出をしてみようかなと思う。好きな音楽でも流しながら。

突然だけれど、2021年の初夏ごろに母が山登りを始めた。友人の影響だとかダイエット目的だとか山が好きだからだとか真相はわからないけれど唐突に毎週のように山に登り始めた。
夏に入ったあたりから頻繁に「一緒に山登らへん?」と誘われたけれど何かと理由をつけて断った。単純に体力的にきついし、特に山に登る理由もなかったから。それでも「いい写真撮れるで」「映えるで」と誘われるからついていった。
結果、きつかった。
いい景色が見れるとかそんなことより何よりもきつかった。その後も何度も誘われて断ったけれど、「ハイキングがてら紅葉見に行こう」と言う誘いにはついていった。2021年は紅葉を見に行く機会がなかったしちょうどいいや、くらいの気持ちで。実際、写真撮りながら往復1,2時間で紅葉も美しかった。
山登りはきついけどハイキングぐらいはたまにはいいかも、そんなふうに思った2021年の秋。

冬(12月)

1月に十三付近の淀川沿いを歩いて、近いうちにまた来ようと思っていたらいつのまにか12月になっていた。大阪は水の都とも言われてるし淀川以外にも大きな川はあるけれど、その中でも特別な感じがする。おかしな話だけれど都会の中なのに田舎にいるような感覚になる。川の向こうには高層ビル群が建ち並んでいるし、すぐ側には橋があって車や電車の音がする。
そんな喧騒の中にいるのに静けさが存在する。矛盾しているが僕はそう感じる。

とにかく淀川が好きで12月は2回訪れた。雨の日と晴れの日と。
写真を撮るのもいいし、散歩するのもいい。暖かい日だったら読書だってできるかもしれない。
まだ冬にしかいったことがないから今度は夏にでも行こうと思う。また違う景色が見れるかもしれない。

そして2022年へ

今まであまり撮らなかった写真や行ってなかった場所、何度も行った場所、初めて撮る人、よく撮る人。2021年は色んな写真を撮れて本当に楽しかった。2022年はまだどんな写真を撮るかわからないけれど楽しみでしかたがない。
これを書いているのが1月。何度か写真を撮ったけれどたぶん調子がいい。

どうぞ2022年もよろしくお願いします。

by
関連記事